湧水町吉松地区を流れる川内川にあり、「上流部最大の流水阻害」として地域住民の撤去要望などが強い阿波井堰(あばいぜき)を、国が改築する方針であることが8日わかった。1919(大正8)年の設置以来、流域住民に水害の元凶とされてきた懸案が、解決へ動き出すことになりそうだ。
同日、小里泰弘衆院議員(鹿児島4区)が、同町で米満重満町長らと懇談し、明らかにした。小里氏によると、国土交通省が年明けにも公表する川内川河川整備計画原案に、阿波井堰の流下能力を増やす「改築」が明記される方針という。
下流側住民の不安解消のため、「改築」工事は川内川下流の改良進ちょくに合わせて進め、鶴田ダム再開発事業が竣工(しゅんこう)予定の2015年度をめどに完成させる見通し。それまで段階的に流下能力を増やしていく案も検討され、既に新たな堰の構造や改築位置の調査に入っているという。
町が独自に設けた河川改修検討委員会からはこれまで、「水をせき止めるだけの固定堰である現在の井堰を撤去し、洪水調整機能のある可動堰を新たに設置することが望ましい」という意見が出されており、国の改築方針もそれに沿ったものになりそうだ。
阿波井堰は発電を目的に日本窒素肥料(現チッソ)が設置。上流側に河道の狭窄(きょうさく)部もあり、洪水の要因と長年指摘されているが、県北部豪雨を受けて川内川水系で着手した河川激甚災害対策特別緊急事業(河川激特)では手つかずだった。